僕らの活動(藤野地域通貨よろづ屋)が朝日新聞に取り上げられました。
2016年9月27日 朝日新聞 天声人語より
(天声人語)マイナス金利の世界
正式なお金ではなく、特定の場所だけで通用する地域通貨の取り組みが、全国あちこちにある。その一つ、相模原市藤野地区の「萬(よろづ)」は300を超える世帯に使われている。住民の榎本英剛(ひでたけ)さんは「つながりを取り戻すための道具」だという▼「散髪してくれる人いないかな」と呼びかけると、美容師だった人が応じてくれる。「大きなテレビでスポーツ中継を見たいのですが」。誰かの自宅で即席の応援団ができ あがる。お年寄りの話し相手や子どもの世話も▼本物のお金のやりとりでなく、地域通貨なら気兼ねなく頼める。萬を使うばかりで借金がちの人もいるが、構わない。使えば使うだけ、人が出会って、仕事が生まれる▼お金が世の中に回って経済が活発になるとは、本来そうした営みなのだろう。企業や個人がお金を借りやすいように、投資や消費をしやすいようにと、日本銀行が 四苦八苦している。金利を下げ続けてマイナスになり、さらに下げる用意があるという▼見渡せば、先進国の多くの中央銀行は、ほぼゼロかマイナスの金利にし ている。欧州には預金者に金利を払ってもらう銀行もあると伝わる。逆立ちした世界である。景気を悪くしないためには、このくらいの無理は必要ということか ▼お金が回りやすくなるはずだと理屈では分かるが、その通りになるのかどうか。地域通貨のつながりは、地域がすさんでいれば生まれないだろう。お金による経済のつながりも、これからの社会に不安があれば広がらない。
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